FXにおけるトレードシナリオの立て方

FX ≪実践編≫

FX取引は上がると思ったら買い、下がると思ったら売りでエントリーするというシンプルな投資です。しかし、エントリーをするためには、まだ見えない未来のチャートの形を予想する(=自分なりのトレードシナリオを立てる)必要があり、勝てる確率が高い(=優位性がある)場合に絞って取引をしなければなりません。

しかし、FX初心者の方はどのようにトレードシナリオを立てれば良いのわからないのではないでしょうか。そこで今回は、FXにおけるトレードシナリオの立て方をご紹介します。

トレードシナリオに正解はない

まず初めに重要な事なので先に言っておきますが、トレードシナリオに正解はありません。そのため、同じ状況下においても「上がる」と予想する人もいれば、「下がる」と予想する人もいるのです。そもそも為替レートというのは、その時々の需給が一致しているからその価格となっているのであり、常に売り手と買い手は綱引きの状態であると考えてください。そのため、少しでも買い手が多くなった時に価格が上昇し、少しでも売り手が多くなった時に価格が下落するのです。

また、為替市場の参加者には、各国の金融機関などの大口の投資家もいれば、貿易のために実需で為替取引が必要な会社、私のような個人投資家まで様々な人が取引をしています。それらの市場参加者は異なった思惑で為替取引をしていますが、目的のほとんどは為替益を出すことです。どのように為替益を出すのか、それは、 ファンダメンタルズ分析テクニカル分析 によって取引をすることです。

テクニカル分析とは、過去のチャートパターンによるシグナルやテクニカル指標、自身の経験則からいつ取引をすべきなのかを判断しています。チャートパターンには、「買い」と「売り」のどちらで入るべきなのかという定型パターンが存在しており、一定のチャートパターンを形成することによって、見通しがフラットであった「買い」と「売り」の一方に優位性が生まれます。この優位性を用いてトレードを行うことで利益をあげることができます。

トレードシナリオに不可欠な環境認識

トレードシナリオを立てるためには、環境認識が不可欠です。環境認識とは、現在の相場がどのようなトレンドであるかをチャートの形から判断することです。FX初心者にとって、チャートの形はとても複雑に見えるかもしれませんが、一見複雑そうに見えるチャートも、大きく分けると「上昇トレンド」「下降トレンド」「レンジ相場」の3種類しかありません。

相場の種類①:上昇トレンド

上昇トレンドとは、為替レートが直近の安値と高値を切り上げながら上昇をしていく状態であり、チャートが右肩上がりの形状となります。

相場の種類②:下降トレンド

一方で下降トレンドとは、為替レートが直近の安値と高値を切り下げながら下降をしていく状態であり、チャートが右肩下がりの形状となります。

相場の種類③:レンジ相場

レンジ相場とは、為替レートが一定の価格帯を行き来している状態であり、チャートが方向感なくもみ合っている形状となっています。

このように現在の相場がトレンド相場なのかレンジ相場なのかを把握することで、どちらの方向に優位性があるのか、エントリーや決済のタイミングをどうすべきなのかを判断します。しかし、例で挙げた画像のように明確な方向感がない時もあり、トレンド相場なのかレンジ相場なのか判断に迷う時があるかもしれません。そのような時には移動平均線のようなテクニカル指標を使うことで、トレンドを把握しやすくなります。

また、取引をする際には、必ずトレンドが示唆する方向、つまり、上昇トレンドの中では買い場を探し、下降トレンドの中では売り場を探しましょう。なぜなら、トレンド方向への勢いの方が強く、短い時間で大きな値幅を狙えるためです。逆張り投資も手法としてありますが、割に合わないことが多いです。

環境認識の注意点

上記のようにトレンドを確認したとしても、チャートは複数の時間足に分かれているため、自分が見る時間足によって大きく見え方が異なってしまいます。そのため、環境認識をする際には長い時間足から短い時間足へと順番に確認し、短い時間足での相場が長い時間足の相場のどこに位置しているのかを確認する必要があります。よく使われる時間足で「5分足」「1時間足」「4時間足」「日足」などがありますが、それぞれが下記のような関係性になっていることは念頭に置いておきましょう。

  • 1時間足:12本分の5分足
  • 4時間足:48本分の5分足、4本分の1時間足
  • 日足:288本分の5分足、24本分の1時間足、6本分の4時間足

5分足のような短い時間足は長い時間足の一部(=長い時間足は短い時間足の集合体)であることを理解していなければ、「5分足が下落トレンドだったので売りでエントリーしたが、4時間足レベルでは上昇トレンドであり、結果として損切になってしまった。」など、全体が見えていないことで、思った方向と逆行して損切りになったり、含み益だったのに決済タイミングを逃して損切になってしまうことがあります。

そのため、環境認識の際には必ず複数の時間足を確認する必要があります。このように複数の時間足にまたがって分析する方法を「マルチタイムフレーム分析(MTF)」と呼びます。

エントリータイミングの注意点

環境認識をしてエントリーポイントがわかったとしても、タイミングがわからなければエントリーすることはできません。よくある失敗として、方向がわかっていたのにもかかわらず、踏み上げられて損切りしたポイントから思っていた方向に動くことがあります。これは、あなたが損切ポイントだと思っていた価格がエントリーポイントであったからこそ起きてしまう失敗です。

エントリーのタイミングはテクニカル指標やチャートの形状など、さまざまな点から判断することが重要です。そのタイミングは使う指標によって異なりますが、複数のシグナルが示した時がより確率の高いトレードとなります。そのため、必ずエントリーのタイミングの際には下記の点を確認しましょう。

  • 短期足(1分足/5分足)に逆らっていないか
  • ボラティリティのある相場か
  • 実線レベルで明確にブレイクしているか

環境認識とトレードシナリオの事例

これまで書いてきた通り、環境認識は複数時間足で行う必要があります。しかし、ゼロから自分で行うにはハードルが高いと思いますので、当HPで日次で更新している記事である「10月27日の為替相場の見通し」の環境認識を利用して、トレードシナリオを立てる手順をご紹介します。

環境認識:日足

10月26日の日足レベルのドル円は、短期線の位置する105円まで上昇し、上ひげ陽線で引けました。直近の流れから戻り売りを基本スタンスとして取引に臨みたいところですが、短期足では緩やかな上昇トレンドが続いている格好となっているため、短期足のトレンド転換を確認してからの売り場を探しましょう。その際の下値目標は、10/21に付けた安値である104円30銭や104円の大台を目指していきたいところです。

環境認識:4時間足

10月26日の4時間足レベルのドル円はジリ高の展開となり、価格は短期線と中期線の間に位置しています。日足レベルでは下降トレンドとなっていますが、足元の上昇トレンドの終了を確認してから売り場を探したいところです。足元の上昇の流れから上値余地はチャネル上限である105円前半として、チャネル下限である104円70銭台を明確に抜けてくると、下落の可能性が強くなると想定しておきます。

環境認識:1時間足

10月26日の1時間足レベルのドル円は東京市場とロンドン市場で上昇する形となり、一時105円台を付けましたが、ニューヨーク市場で東京市場終わりの104円80銭まで押し戻されています。直近の動きから中期線だけでなく長期線も上向きに転換しており、1時間足レベルでは上昇トレンドを示唆しています。一方でボラティリティが小さく、積極的な買い姿勢は見えない形となっています。

トレードシナリオを立てる

10月26日のチャートを上記のように分析すると、日足=長期のトレンドは下降トレンドであるが、1時間足=短期のトレンドは上昇トレンドとなっていることがわかります。そのため、短期足の上昇トレンドをブレイクしたタイミングでのショートエントリーを基本スタンスとしていきます。

その際の利確ポイントは直近の安値である104円30銭、ストップラインは再びトレンドチャネルに回帰する場面としチャネル内に置きます。前述の狙いを描画すると下記画像のようになるので、後はその日のチャートでトレードシナリオ通りの動きをしたら、5分足でタイミングを計ってエントリーを計画しておきます。

トレードシナリオの形を待つ

先ほどのようにシナリオを立てたら必ずエントリーポイントを待ちましょう。ブレイクに先駆けてショートエントリーをした場合、トレンドがブレイクすることなく踏み上げられた場合、損切りせざる負えなくなってしまいます。たとえ上位足のトレンド方向であったとしても、短期足が同じ方向を向くまで待つことが重要です。

そして27日のドル円を先に進めると5分足では下記のような画像となりました。

まず、トレンドチャネルをブレイクした後、再びチャネル内に戻るような動きをしていることがわかります。トレンドブレイクの典型的なパターンとして、ブレイク後に一度チャネルに回帰するような動きをします。そこで、想定していたトレードシナリオでも、一度チャネルを抜けてから、チャネルに再度近づくものの戻り切れず、サポートラインで跳ね返ったタイミングでのエントリーを狙っていました。

これらの流れから、トレードシナリオ通りにチャネル下限で跳ね返ったところをエントリーポイントとし、トレードシナリオが崩れる可能性のあるチャネル内にストップラインを設定の上、狙っていた利確ラインも設定してポジションを保有しましょう。

まとめ

最後に環境認識とトレードシナリオを立てた事例をご紹介しましたが、トレードシナリオを立てるためには環境認識が必要不可欠であることを理解できたでしょうか。また、そのトレードシナリオに沿って、どのタイミングでエントリーや決済をするのか、どの時間足を根拠とするのかなど、エントリーするのにも色々なことを考える必要があり、すべての要素を決めるのはあくまで自分次第です。

初心者の方はトレードシナリオを立ててみても自信を持つことが出来ずに、ほかの人の意見に流されたり、すぐに手仕舞ってしまうなど、トレードシナリオ通りに取引が出来ないかもしれません。しかし、どのような結果になったとしても、自分で立てたトレードシナリオで経験を積むことは大きな成果につながります。たとえ最初は自信がなくとも自分なりのトレードシナリオ通りに取引をしてみることから始めていきましょう。

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