損切の重要性と設定のポイント

FX ≪実践編≫

損切りとは、投資家が損失を抱えているポジションを決済して損失を確定させることをいいます。損切を行う理由は、損失を最小限に抑えるためであり、FXや株式投資において利益確定以上に重要なポイントです。しかし、FXなどの投資の世界で多くの人が撤退する理由は、この損切が出来ないことが原因であることがほとんどです。そこで今回は、何故損切が重要なのか、設定をどのようにすればいいのかをご紹介していきます。

損切が何故重要なのか

損切が重要な理由は大きく二つです。

  • 損失を最小限に抑えることが出来る
  • 機会損失を防ぐことが出来る

損失を最小限に抑えることが出来る

当たり前のことに感じると思いますが、損切をすることで損失を最小限に抑えることが損切設定をする最も重要な理由です。しかし、投資初心者の多くは、この理由をわかっていながら損切設定を怠り、含み損のまま塩漬けになることや、大きな損失からのロスカットという末路をたどってしまいがちです。

損切設定をしなくなってしまう人の多くは、エントリーをするたびに損切を経験し、損切りした後に自分の思った方向に進む価格を見て、「損切りする必要がなかった」と感じてしまうからではないでしょうか。しかし、これは「損切設定」が必要なかったのではなく、「損切設定」を置く位置が悪かったことから起きていることがほとんどです。

機会損失を防ぐことが出来る

第二の理由としては、機会損失を防ぐことが出来ることです。FXや株式投資では、口座内の証拠金を基に取引をしているため、含み損状態のポジションを保有していることで、次の取引の資金が不足し、絶好の場面でエントリーが出来なくなったり、取引の枚数を減らしたりせざるを得なくなってしまいます。

含み損のままいつか戻る可能性はゼロではないかもしれませんが、含み損のポジションはクローズして、次の取引に進んだ方が良いことが多いでしょう。また、含み損であるということは、自分の描いたシナリオが崩れてしまっていることがほとんどです。一度自分のシナリオが崩れたエントリーは早々に決済して、また一からシナリオを立て直すべきです。

損切は心理的に難しい選択である

損切は行動経済学において難しい決断であることは、”プロスペクト理論”で証明されています。ここでは実際にプロスペクト理論について実験と同じ質問で考えていきましょう。

質問①:あなたの目の前に、以下の二つの選択肢が提示されたものとします。

選択肢A:100万円が無条件で手に入る。
選択肢B:コインを投げ、表が出たら200万円が手に入るが、裏が出たら何も手に入らない。

あなたはどちらを選ぶでしょうか。どちらの選択肢も期待値は100万円であるという点は変わりませんが、一般的には堅実な選択肢Aが選ばれることが多いです。
では、以下の質問の場合はどうでしょうか。

質問2:あなたは200万円の負債を抱えています。そのとき、以下の二つの選択肢が提示されたものとします。

選択肢A:無条件で負債が100万円減額され、負債総額が100万円となる。
選択肢B:コインを投げ、表が出たら支払いが全額免除されるが、裏が出たら負債総額は変わらない。

質問2でも質問1と同様に期待値は同額です。しかし、実験では質問1でAを選んだほとんどの人が選択肢Bを選ぶことが実証されています。この一連の結果が意味することは、人間は目の前に利益があると、利益が手に入らないというリスクの回避を優先し、損失を目の前にすると、損失そのものを回避しようとする傾向(損失回避性)があるということです。

つまり、質問1の場合は、「50%の確率で何も手に入らない」というリスクを回避し、「100%の確率で確実に100万円を手に入れよう」としており、質問2の場合は、「100%の確率で確実に100万円を支払う」という損失を回避し、「50%の確率で支払いを免除されよう」としていると考えられています。

この理論から「この価格になったら損切をする」と自分の中で決めていたとしても、損失を確定することの心理的ハードルは高いということが証明されています。

損切設定のポイント

損切設定をすることがいかに重要なことであるか分かったとしても、損切設定を正しくすることが出来なければ、FXや株式等の投資で勝ち続けることは難しいでしょう。結論から言うと、損切設定をする位置は、どのようなテクニカル指標やトレードスタイルを取っていたとしても同じで、「意識されるポイントから一定のバッファを持たせたところ」です。

意識されるポイントとはどういうポイントかを実際のチャートから考えていきましょう。

上記画像は2020年12月8日のポンドドルの5分足です。このチャートを見ると直近の値動きは1.33450~1.33650の約20pipsのレンジ内で動いていることがわかります。つまり、この値幅の外に出たらこのレンジ相場が崩れたとして値が大きく動くことが予想できます。

価格大きく動くと予想した理由は、レンジ内のギリギリのラインにはレンジ相場のブレイクを阻止しようと逆張り注文がたまっており、1.33650に到達するまでには売り注文が、1.33450に到達するまでには買い注文が並ぶためです。

また、1.33650を越えた先には下目線が崩れたと考えて、売りポジションを持っている人の損切注文(買い注文)やレンジをブレイクをしたと判断しての新規買い注文が、1.33450を割った先には上目線が崩れたと考えて、買いポジションを持っている人の損切注文(売り注文)やレンジブレイクをしたと判断しての売り注文がたまっていることが予想できます。

そのため、損切設定をする際には、チャート上からどこに注文がたまっているかを考えて、必ず自分都合ではない損切設定をすることが重要です。一方で、注文がたまっていることがわかる場面で、一瞬だけその値を抜けてすぐに値が戻る”ダマシ”があります。このダマシを防ぐために必要な部分がポイントで挙げた「バッファ」です。バッファは通貨ペアごとに設定を変えるべき値ですが、テクニカル指標である ATR などを用いることで、どれくらいのバッファを持たせるべきか使い分けるといいでしょう。

まとめ

損切することは重要ですが、感情に反した行動のため難しい選択の一つです。そのため、損切はエントリー前に立てたシナリオに沿って、機械的に設定しておくべきです。また、設定するポイントを自分都合ではなく、チャートが示唆する値にすることで不要な損切を避けることができます。特に投資初心者の方は、感情に流されないようにあらかじめ損切設定をして、取引に臨むようにすることが大切でしょう。

※参考:wikipedia 「プロスペクト理論」

参考:

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